ナツメグ

明日から鎌倉での展示会のために上京します。

一ヶ月の月見野での生活は仕事と読書が中心になりました。感動した本が”スパイス戦争”大航海時代、ナツメグの産地であるインドネシアの小さな小さなルン島を巡っての英蘭戦争の歴史書です。殺戮を繰り返し、結果、地図上だと点にしかならないルン島はオランダにマンハッタン島はイギリスにとの交換で決着がついた史実です。交易品はキャラコなどの綿布が入っていたとの事ですから、平和にバティックをつくっていたのだと思います。その時代、ヨーロッパ諸国において、薬として防腐剤と珍重され、高値がついたナツメグですが、今はハンバーグに入れるスパイスとしてしか想像できません。長崎平戸からも傭兵が来ていたりとその殺戮に参加していたのが、驚きでもあり、悲しみでもあり、一番の犠牲はインドネシアの人々、人間はなんと愚かな歴史をを繰り返しているのだろうと思いました。

平和へ繋がる布を紹介致します。鎖国前は国際交易に港だった平戸を通して、きっと更紗も鎌倉時代にも流れついたのだと思います。歴史のある場所での桜の季節の展示会ワクワクします。

現代のインドネシアに於いてルン島は貧しい島の一つだそうです。島民はまさかあのマンハッタン島との交換、ニューアムステルダムからニューヨークに改名された島だとは気がつかないだろうと本が終わっています。でもどちらが幸せかは分かりません。焼き払われたナツメグは再生し、島に生息していているとの事です。